日米の研究チーム、ヒトの皮膚から万能細胞の培養に成功 [Wired Vision]

うおっマジで? マウスで成功させたのがついこの間かのように感じるんですが!

今回の技術の本質は、成熟した細胞を胚のような状態に戻すところにある。

通常、皮膚をはじめとする成熟細胞は、生物学的に定められたそれぞれの運命に固定されている。これを専門用語では細胞が「分化」したと言う。しかし、新しい研究では、細胞の時計を逆に戻す、つまり「脱分化」させ、未成熟でプログラム化されていない状態を復元する遺伝子が、成熟細胞に組み込まれた。

「厳密に何が起こるのかはわかっていないが、遺伝子を組み込むことで、基本的に細胞内部で遺伝子発現が変化し、これによって皮膚細胞の運命が変わる」とYu氏は説明する。「一部の細胞は、やがて幹細胞になる」

山中教授もYu氏も、今後は細胞の発達を誘導する方法を知る必要があると口をそろえる。これまでのところ、再プログラム化された細胞は、心臓、筋肉、脳組織などに順調に変化している。

凄いですねー。 まさかこんなに早く人間の細胞で実現させるとは。 日米のチームがそれぞれ独自にってところがまた。 まだリスクの残る手法ですけど、大きな道筋ですよね。

人の皮膚から「万能細胞」 京大グループら作成成功 [京都新聞]

臨床応用が目標の研究もすでに始まっている。山中教授と慶応大の岡野栄之教授らは、脊髄損傷モデルマウスにiPS細胞を注射すると機能の一部が回復することを確認した。安全性が今後の大きな課題となる。

うーんここまで行っているとは。

日本の幹細胞研究のあり方も問われている。山中教授と同時にサイエンスで発表したのは、世界で初めてヒトES細胞を作ったウィスコンシン大のジェームス・トムソン教授ら。「世界初」を独占させないよう、急きょ発表が前倒しされた。競争の激しさが分かる。

米国は国や州が幹細胞研究に多額の資金を投入、主要な大学には幹細胞研究センターが設置され、多様な分野の研究者が集まっている。ES細胞よりも制約が少ないため、iPS細胞の研究者はさらに増えるという。
山中教授も今年七月に米国の大学内に研究室を開設し、日本では認可が難しく実質的に不可能なES細胞との比較研究を進めているが、「個人ではどうにもならない。iPS細胞は日本で生まれたのに、このままでは全部持ち去られてしまう」(山中教授)と危機感を抱く。日本の研究者が切り開いたiPS細胞研究を日本で進められるのか。中核組織や研究事業の立ち上げなど、国の機動的な対応が問われている。

これ、この話に限らず重要ですよね。 革新的な技術があるのに研究する環境が不十分なんてまったく泣ける話であります。 米国政府は早速支援を表明しているようですし、日本政府においてもこういう基礎研究分野への施策も継続的に推し進めてもらいたいものです。