宇宙から大震災を観測。「だいち」活用の舞台裏。 [三菱電機DSPACE]

震災時の動きとか。

しかし災害発生時の行動手順はできており動きは早かった。まず「だいち」の緊急観測。「だいち」が日本上空付近を通るのは朝と夜の2回。翌12日朝、観測できることを確認するが、大災害時は一つの衛星の観測では限界がある。世界の観測衛星が協力する体制(国際災害チャータ、センチネルアジア)が構築されており、さっそく観測依頼の手続きに入る。そして被災状況の確認に必要なのが震災前の画像。震災前の観測画像に地理情報を載せた「だいち防災マップ」を出力、交通機関がマヒしていた夜中、霞が関の防災関係省庁に自転車で約70枚届けたそう。

そのうち各省庁から「ここの画像を」「こんな情報が得られないか」とリクエストが届き「修羅場になった」という。例えば、国土交通省農林水産省からは津波被害地域の堪水状況、つまり水がどれだけ溜まっているかの情報が欲しいという要求がきた。溜まっている水の排水にどれだけポンプが必要か、どこを優先すべきか等の判断材料の一つとするためだ。光学センサー「AVNIR-2」と天候にかかわらず観測可能なレーダ「PALSAR」で観測。画像から堪水量を詳細に算出していった。

この作業が担当者泣かせだった。「解析チームはまず画像から自動処理で水の量を抽出しようとしました。でも過去の画像と正確に条件を合わせるなどの前処理、後処理が必要で、結局画像を見ながら目視判読しました。本当に細かい作業で大変だったと思います」(麻生さん)。また海上保安庁水産庁からは、沖合に流された船や漂流物を確認したいという要望があった。AVNIR-2で観測し、陸前高田周辺だけでも約56万m2の漂着物を確認した。

ところで、報道では福島第一原子力発電所の画像に米商業衛星の撮影したものが使われていた。実は「だいち」にも観測依頼があり撮影、省庁に提供している。ただし「だいち」の解像度はAVNIR-2で10m、PRISM(可視光の立体視センサー)で2.5m。一方、商業衛星は1m以下まで見分けられる。「だいち」は広域を観測できる強みはあるが、高分解能観測は課題であり後継機に引き継がれている。

なんと関係省庁にメッセンジャーやったそうです。被災地がめちゃくちゃ広範囲に渡るだけあって、まさか抽出作業を手作業でやっただなんてなんという修羅場。あとやっぱり原発周辺も観測してたんですね。



つくばもかなり被災してインフラに大きな被害が出てましたしね。最初の「だいち」画像がリリースされるまでは果たして管制は生きてるのかどうかをまず心配してました。現場の中の人的にはデータフォーマットの取り扱い方とかの課題を感じておられて、より利便性を上げていきたいという意気込みを感じますね。ALOS-2ALOS-3にますます期待したいと思います。