H-IIAロケット21号機/「しずく」「アリラン3号」打ち上げ見学記 2012.05.18 その2

さて、打ち上げを見送って宿に帰って2時間ほど仮眠して大阪に帰るのであります。うーん、やっぱもうちょっとゆっくりしていきたいですよねえw

一夜明けた種子島も大変いい天気。


11時半の飛行機に乗るべく空港へ。



ちなみにこの新種子島空港「コスモポート種子島」建造にあたって、古代遺跡が発掘されているそうです。


なんかもう乗客の半分以上は関係者みたいな勢いです。普通にNECの人とかいますし。





今回は短い滞在でちょっと名残惜しいですが、また来ますよ種子島




鹿児島空港を経由して



大阪着。やはりこちらはちょっと涼しいですね。


夕刊一面に打ち上げの記事。


皆さんお疲れさまでした!


[宇宙開発][H2AF21][CGOM-W1][KOMPSAT-3] H-IIA21号機打ち上げ関連

各紙社説

海外衛星打ち上げ 新規受注で宇宙産業守れ [産経]

 だが一方で、衛星打ち上げビジネスの国際競争は極めて厳しい。今回の成功で、日本の前途が一気に開けるわけではない。

 三菱重工業は平成19年にH2Aの打ち上げなどを国から引き継ぎ、市場参入を目指してきたが、受注できた海外衛星は今回の1基だけだ。世界市場で日本が一定のシェアを確保するためには、アジアを中心に新興国の需要を掘り起こすなど、国を挙げての競争力強化が求められる。

 民間の営業努力に期待するだけでは安定受注は難しい。例えば、種子島をアジアの衛星打ち上げセンターとするような大胆な発想も必要だろう。外交戦略などを駆使して宇宙ビジネスを軌道に乗せるのは、政府の役割だ。

ロケット成功―未来につなぐ絵を描け [朝日]

 新しい宇宙戦略室は、政府全体の政策の調整機能を担い、民間委員からなる宇宙政策委員会とともに戦略をつくる。

 気がかりなのは、これまでの専門調査会での議論も民間の委員によるものとはいえ、非公開で透明性を欠いたことだ。

 そして、有人活動をどうするか、長期的に何をめざすかといった根本的な議論はないまま、全地球測位システム(GPS)の日本版をめざす準天頂衛星を中心とする計画作りが進んだ。

 新しい組織は透明性を持たせて、幅広い議論を巻き起こす必要がある。

H2Aロケット 世界市場へ課題克服を [毎日]

 欧州のアリアンロケットは赤道直下に発射場を持ち、赤道上空を回る静止衛星の打ち上げ効率が良い。日本は種子島からの打ち上げで、緯度が高い分、打ち上げ効率も落ちる。静止衛星は大型化しているが、H2Aの能力ではその需要をカバーできていないのだ。

 「しずく」の活躍も期待したい。

 「しずく」は高度700キロの軌道から降水量や海水温、大気中の水蒸気量などのデータを収集する。これらは地球温暖化のメカニズム解明にとって重要で、豪雨や干ばつなどの災害対策にも活用できる。JAXAは後継機も準備中で、地球全体を15年程度観測することにしている。

 日本は昨年末の国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議で、先進国に温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書の延長期間への参加を見送った。当面は自主的な対策を実施するが、「しずく」のようなプロジェクトで科学的なデータを集め、世界に貢献することは、温暖化交渉の場で低下する日本の存在感を増すことにもつながるはずだ。

H2A成功 宇宙産業の地歩を築く一歩に [読売]

 H2Aの次の国産ロケット開発についても、本格的に検討を始めるべきではないか。新規の研究開発がなければ、優秀な技術者はいなくなる。H2Aに携わった技術陣はすでに引退し始めた。

 米国では、民間企業主導で、打ち上げ費用がH2Aの半額程度という安価なロケットも登場している。実績はまだ少ないが、新たなライバルになろう。

国民の利益につながる宇宙ビジネスを [日経]

 国内の宇宙機器産業の市場規模は約2700億円。これに対し、世界の宇宙産業は13兆円の市場規模があり、年率10%を超えるペースで伸びている。

 通信・放送や地球観測など衛星の利用は新興国にも広がっている。2018年までの10年間の衛星打ち上げ需要は260機と、08年までの10年に比べて2倍以上に増える見通しだ。この需要を取り込みたい。

 そのためにはまず、宇宙ビジネスを国家戦略として推進することへの国民の合意が前提となる。

 宇宙開発もインフラ輸出のひとつと位置付け、自国での衛星開発や運用が難しい新興国に衛星情報の利用方法や地上設備、人材育成などを包括的なパッケージで売り込んでいくことが大切だ。

 日本政府はベトナムに納入する予定の日本製衛星を使った災害監視システムを、東南アジア諸国連合ASEAN)の他の加盟国にも提案している。各国が持つ衛星システムを連携させれば広域での防災対応が可能になる。

国産ロケット 商業化へ競争力向上を(5月19日) [北海道新聞]

 18日未明に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた4基のうち、日本の中核は宇宙航空研究開発機構宇宙機構)の地球観測衛星「しずく」だ。水の動きを観測し、自然災害の監視や漁場の把握などに役立てられる。

 厳しい環境にはあるが、このように人工衛星が見込まれる分野はまだ残されている。

 気になるのは、高精度の光学カメラを備えた今回の韓国の衛星「アリラン3号」だ。地上の詳細な画像を撮影でき、軍事目的で使われる懸念がぬぐえない。

 日本政府は宇宙機構の設置法から「平和目的に限る」との規定を削る方針を決めている。宇宙の軍事利用を進める狙いなら、危惧を感じざるを得ない。

H2Aロケット 競争力の強化が急務 [信濃毎日]

 日本は科学衛星や惑星探査の分野では、独創性ある実績を重ねている。そうした取り組みも、足元のロケット技術がしっかりしていればこそである。

 ロケットは数万点の部品からなる。製造を支えるのは国内の中小メーカーだ。技術を途絶えさせてしまうと、もう一度立ち上げるのは難しくなる。

 衛星を持とうとする動きはこれから発展途上国にも広がっていくだろう。衛星の製作から打ち上げ、運用、人材育成までセットで引き受け、支援するといったやり方で、関連技術と産業を継承、発展させられないか考えたい。

H2A成功 技術とコスト減で活路を [西日本新聞]

 宇宙機構によると、H3は大型衛星のほか、有人宇宙船も打ち上げられる能力を持つ設計にし、18〜22年度に試験機の打ち上げを目指すという。政府は近く内閣府に「宇宙戦略室」を設置予定だが、当然、国の支援も不可欠である。

 H2Aには今回、九州工業大(北九州市)の学生らが開発した小型衛星「鳳龍弐(ほうりゅうに)号」が相乗りし、宇宙に放たれた。積載した太陽光発電機を使い、宇宙空間で世界初の300ボルトの高電圧発電に挑む。九州の衛星の成果にも注目したい。

[衛星ビジネス] 成功を追い風にしたい [南日本新聞]

 宇宙機構三菱重工は2年後の運用開始に向け、5トンの衛星を搭載できるH2Aの改良型の開発を進めている。さらなる能力向上が必要だろう。

 世界の商業衛星打ち上げ数は年間20基程度である。その中でビジネスを展開するには、顧客のニーズにいかに応えるかが大切だ。


仕方ないっちゃ仕方ないですが、「しずく」に触れたところはあまりありませんねえ。結構重要な衛星なんですけど、まあ商業受注で注目されてましたし。産経の書いてるように新興国向けパッケージ受注で囲い込むのも手ですよね。

写真

H2Aロケット 初の商業衛星打ち上げに成功 [産経]

相変わらず産経写真部はいい仕事してます。


H-IIAロケット21号機の打ち上げ on Twitpic
柴田孔明さん撮影の写真。こちらも素晴らしいですね。


今回初めて現地入りされたたまきひさおさんによるスケッチ。写真では再現できない瞬間の光景。


あんまり言いたくないけど

今回韓国の衛星も搭載したということで一部で罵詈雑言が飛び交っておりましたが、特に失敗を願うような発言が見られたのはそこまで言うかという感じです。まあ色々言いたいことはあるかも知れませんが、打ち上げを担う方々は立派な仕事をしましたし、韓国側も感情論抜きの正当な評価でH-IIAを選定しました。これは喜ばしい事だと思います。